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ペットちゃん
お悩み相談室
獣医師コラム

vol.05

ペットちゃんお悩み相談室 ネコちゃんにとって
快適な環境づくり

こんにちは。
株式会社レティシアン 専属獣医師の金子 潤です。

Intro illust ネコちゃんの祖先は砂漠で生活していたリビアヤマネコだといわれていて、
ペットとして人間とともに生活している現代のネコちゃんにもその特徴が
色濃く受け継がれています。

生物としてのルーツが大きく異なるため、ネコちゃんの生活様式は
人間のものと大きく異なり、「人間にとって快適な住環境」が
必ずしもネコちゃんにとっても快適であるとは限りません。

今回のコラムでは、
AAFP(American Association of Feline Practitioners)
ISFM(International Society of Feline Medicine)
という世界的に権威のある2つの猫専門学会が制定したガイドラインをもとに、
ネコちゃんにとって快適な環境づくりについて解説していきます。

CONTENTS

ネコちゃんが安心して過ごせる
安全な場所を用意する

  • Illust01 自分の身を隠せる場所

    部屋の隅や静かな場所に、ネコちゃんが身を隠してリラックスできる場所を作ってあげましょう。

    「扉を外したキャリーケース」「段ボール箱」「ドーム型のベッド」などを好んでくれることが多いのですが、特におすすめなのが「扉を外したキャリーケース」です。

    ネコちゃんが普段からキャリーケースを「安全な場所」だと認識してくれていれば、動物病院への通院や被災時の同行避難の際など、ネコちゃんがキャリーケースの中で過ごさなければならない状況でもストレスを感じにくくなります。

    ネコちゃんが好む隠れ場所

    • 周りが囲われていること
    • 誰からも邪魔されることなく、一人で安心して過ごせること
    • 自ら逃げ込んで身を守ることのできる場所であること
    • リラックスして休憩、睡眠できる場所であること
  • Illust01 周りを見渡せる場所

    ネコちゃんは、周りを見渡せる高い場所を好む習性があります。
    これには「獲物を探すため」「外敵や危険をいち早く察知して身を守るため」といった理由があると考えられています。

    自宅内にキャットタワーやキャットウォークを設置したり、棚などの上にネコちゃんが上り下りしやすいように、家具の配置を変えるといった工夫をしてあげるようにしましょう。

ネコちゃんにとって重要な環境資源を整備する

ネコちゃんが特に
気にするところはココ!!

  • 01 ごはんの場所

    ネコちゃんは「単独で狩りをする動物」なので、群れや家族で一緒に食事を摂るという習慣がありません。一人で落ち着いて食事を摂れる環境を作ってあげるようにしましょう。

    ネコちゃんが好む
    ごはんの場所

    • 大きな音がしない、静かな場所
    • オーナー様や同居動物があまり通らない場所
    • 屋外の環境が見えない、窓から離れた場所
    • トイレや寝床から離れた場所
    • 他の同居動物が近くにいない場所
    • ヒゲが当たらない、口が広くて浅い食器
  • 02 水のみ場

    ネコちゃんは砂漠で暮らしていた祖先の特徴を受け継いでいるため、喉の渇きを感じにくくあまりお水を飲まない動物だといわれています。

    しかし、泌尿器疾患などのリスクを減らして健康な毎日を過ごしてもらうためには、ネコちゃんが積極的にお水を飲んでくれる環境を作ってあげることが重要です。

    水のみ場のポイント

    • 食事場所やトイレから十分離れていること
    • お水の容器を毎日洗浄し、常にキレイな水を飲めるようにしてあげてください。
    • ネコちゃんは冷たいお水を嫌がるので、常温かぬるま湯程度の温度のお水を用意しましょう。
    • お皿に入ったお水を好んで飲む子もいれば、自動給水機や蛇口から流れるお水を好む子もいます。ネコちゃんの好みに合ったお水の飲み方ができるようにしてあげましょう。
  • 03 トイレの場所

    ネコちゃんはキレイ好きな動物で、排泄物のニオイが残ったトイレを避けたり、排便と排尿でトイレを使い分けたりすることがあります。

    自宅内の複数の場所にトイレを設置し、ネコちゃんが排泄したら速やかに掃除をしてキレイな状態を保つようにしましょう。

    ネコちゃんが好む
    トイレの条件

    • 人通りの少ない静かな場所にあること
    • 複数の経路からアクセスできること
    • 排泄物やニオイが残っておらず、清潔に保たれていること
    • 大きさ:自由に方向転換ができる広さ(体長の1.5倍以上)のもの
    • カバーの有無:カバーのついていないトイレを好むネコちゃんが多いです。
    • トイレ砂:無香料で本物の砂に近い質感のものを好みます。
    \ POINT ! /
    ネコちゃんがしっかり
    掘れるよう、
    3cm以上の深さになるように
    トイレ砂を入れましょう。
  • 04 爪とぎの場所

    ネコちゃんが爪を研ぐ行動には、「爪のお手入れ」「体のストレッチ」「爪痕を残すことによる視覚的なマーキング」「フェロモンを残すことによる嗅覚的なマーキング」といった様々な目的があるといわれています。

    ネコちゃんが好む
    爪とぎの条件

    • ネコちゃんの生活導線上の目立つ場所にあること
    • 寝床や休息場所の近くにあること
    • ネコちゃんが体を目いっぱい伸ばした状態で爪が研げる高さ/長さがあること(30cm以上)
    • ネコちゃんが体重をかけても倒れたりぐらついたりしない、安定したもの
    • 爪がしっかりと引っかかるもの
    • 爪とぎの表面が裂けたり破れたりして「爪痕が残る」素材のもの

遊び・捕食行動のできる機会を設ける

肉食動物であるネコちゃんは本来、以下の3つのステップを通して食事を摂ります。

STEP 01「 探す 」
探索行動
STEP 02「 狩る 」
狩猟行動
STEP 03「 食す 」
摂食行動

しかし、ペットとして生活しているネコちゃんは、オーナー様が食事を用意してくれるため、「探索行動」「狩猟行動」をすることなく「摂食行動」だけを行う食習慣をとることが多いです。

野生のネコちゃんは起きている時間の大半を「探索行動」「狩猟行動」に費やしているため、これらが不足すると退屈してしまったり、欲求不満・ストレスの原因となることがあります。

ただ単に「時間になったからごはんを与える」のではなく、「探索行動」「狩猟行動」を満たしながらごはんを食べられるように、以下の工夫をしてあげましょう。

  • STEP01「探す」

    • 知育トイやパズルフィーダーを使って、ネコちゃんが試行錯誤しながら少しずつ食べ物を獲得できるようにする
    • 自宅内のあちこちに少量ずつごはんを隠し、ネコちゃんが“宝さがし”をしながらごはんを食べられるようにする
  • STEP02「狩る」

    • 猫じゃらしなどのおもちゃを使い、蝶やネズミの動きを真似するように不規則に動かしてあげる
  • STEP03「食す」

    • 遊びの最後に少量の食べ物を与え、狩りが成功した達成感と、仕留めた獲物を食べる満足感を感じてもらう

ネコちゃんのペースに合わせて交流する

ネコちゃんは人間との交流を好みますが、あくまで「ネコちゃんのペースで交流する」ことを望みます。
ネコちゃんが望んでいないタイミングで触ったり遊ぼうとしたりすると、かえってネコちゃんにストレスを与えてしまう可能性があります。

ネコちゃんのボディランゲージを読み取り、

  • ネコちゃんが望んでいるタイミングで交流を開始する
  • ネコちゃんが満足したら交流を終了する

ことが重要です。

  • あそびたいネコちゃん

    Illust04
    • ゆっくりとまばたきをする
    • 喉をゴロゴロ鳴らす
    • 人間に顔をこすりつけたり、頭をぶつけたりしてくる
    • 人間の膝の上に乗ろうとする
    • 自分から人間の手の中に体を入れてくる
    • リラックスしながらお腹を見せて寝転がる
  • ストレスを感じているネコちゃん

    Illust05
    • しっぽを素早く振る
    • 体に力が入って緊張している
    • 背中の皮膚がぴくぴくと波打つ
    • 耳を寝かせる
    • 黒目が丸く大きくなる

    ネコちゃんは長時間なでられ続けることを嫌がります。「ストレスを感じ始めているサイン」が見られたら、ネコちゃんとの交流を中断してあげましょう。

ニオイもとっても大事 ネコちゃんにとっての
「ニオイの重要性」を尊重した
環境を用意してあげる

ネコちゃんの嗅覚はとても鋭く、人間の約20倍の感度があるといわれています。
人間には感じ取ることのできないニオイやフェロモンから周囲の環境から情報を収集し、 安心感や快適度を最大に保とうとします。

逆に、人間にとっては心地よく感じられる香りでも、ネコちゃんにとってはニオイが強すぎたり、重要なニオイの情報を覆い隠してしまったりすることがあります。

これによって、ネコちゃんが周囲の状況の評価ができず混乱してしまったり、ストレスの原因となったりすることがあります。

ネコちゃんにとって快適な環境を作ってあげるために、以下の2つのポイントを意識してあげることが重要です。

  • 01 余計なニオイをつけない

    香水、アロマオイル、芳香剤、香りの強い洗剤、香りのついたトイレ砂などは、ネコちゃんにとってストレスの原因となることがあるので、できるだけ使わないようにしましょう。

  • 02 重要なニオイを消さない

    ネコちゃんは家具や壁に顔をこすりつけてフェロモンを残し、安全で自分の生活圏であることを示します。繰り返しこすりつける場所は過度に掃除せず、安心できる環境として保つことが大切です。

まとめ

今回は、ネコちゃんにとって
快適な環境づくりについて
解説させていただきました。

ネコちゃんごとに
好みの環境は大きく異なるため、

「好みを見極めてあげる」
ことが重要です。

自宅内の環境を一つずつ変えて
愛猫の反応を確認し、
少しずつ改善していってみましょう。

Kaneko

金子 潤 Jun Kaneko

株式会社レティシアン 専属獣医師 
日本ペット栄養学会 正会員
一般社団法人 日本獣医動物行動学会 会員
公益社団法人 日本動物福祉協会 賛助会員
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